本流からの贈り物
3月9日
朝の寒さが幾分和らいできたように感じられた日曜日・・・
誰の足跡もない白く輝ける雪上を、僕は本流を目指してゆっくりと歩き始めた。
真冬の雪の柔らかさとは異なるこの季節の残り雪は、僕の重みで不意に大きな穴を開ける。
目線の先は悠々と流れる本流しか見ていないのだから、こんな危ない目に会うこともしばしば・・・。
雪代の影響もあるのだろうか、いつもより川の色は薄緑色に染まっていた。
それでも、暖かな春の陽気で水の冷たさはほとんど感じられなかった。
気温は10℃をさしている。
本流でのスペイ、川の流れに馴染んでいくラインを僕は繰り返し眺めていた。そして祈っていたんだ・・・。
今日の僕には時間がなかった。
初めて訪れるこの場所、きっとこのランを一度流せば帰らなければいけない時間になってしまう。
だからいつもよりゆっくり、そして丁寧に釣り下ってみた。
時折、流れ切ったラインの先に違和感を感じる。ラインを軽く引っ張り、数秒じっと動きを止めて、ラインの先にあるフライの感覚を手元で確かめてみた。
大きな岩が点在するこの流れ。鱒は遡上の機会をうかがっていて、きっとあの岩のあたりか、その下の大きなプールにいるのだろうかと試行錯誤しながらキャストを繰り返す・・・
でも時間だけがいつものように過ぎていく。
この日は僕の38回目の誕生日。
僕はちょっとだけ神様に期待していたんだけれどなあ・・・
by akiranspey | 2008-03-10 22:33 | ウエット&スペイ